船出 その3

撮影していると、いつも思うことですが、同じ日は一日たりとも存在しない。
ハズなんですけどね。
無事、日程を消化しつつ、次のスケジュールのため、船で町に戻る日になりました。
実はその日とは八月二日。
去年のその日あるアクシデントで機材を同じ場所で失っています。
チョッピリ、ビターな日なのです。
まあ、詳しくは去年の八月あたりを読んで下さい。
いやー、まさか同じ日同じ場所、そして同じ理由で同じ事をする事になるとは。
とは言っても、前とは違うので早朝に出発する事に…
そして、まさかのヤングな相棒が寝坊…

船出に間に合わず、まさに船が丘に取り残されて行きます。
この日は大潮。
忘れるはずもありません。去年、勉強しましたから。

しかし、こうなっては仕方ない無いので、午後の満潮にまた仕切り直し。
そのヤングな相棒は結局飛行機に迎えに来てもらって飛んで行きました…
船での再出港までのあいだ、潮の引いた浜辺を散策して時間を潰しました。




ここまで引くと見事なものです。
そしてここから色々あり、結局夕方にいつもの友達に船で送ってもらいました。

今回は前回のボートから船も小さくなり、ウネリも出てたのでサーフィンのような、ハードな船出でした。
同じとは言っても、無事トラブルも無く帰ってくる事も出来たので、少しは成長出来たか?と胸を撫で下ろしながら、しかし同じ事ってあるんだとある意味では関心した日でもありました。
八月二日何かが起こる!!

船出 その2

あまり時間も無いので、サクッと流しますね。
やっぱり今は撮影で忙しいので。

僕が滞在していたのは、入江の奥にある孵化場の施設です。

入江で鮭を捕らえ、孵化させてから放流するための施設です。
鮭を捕らえると言っても、ヤナを設置して魚どめしているわけではなく、適当に捕まえて卵を取り出しているので、谷間を流れる川には自然産卵の為にピンクサーモンが遡上してきます。

彼らが今回のターゲットになります
ここは、実は僕がアラスカで入る水の中でも一番水温が低く、昨年は7℃で凍えていましたが、今年は昨年のドカ雪のお陰で、水量も増え何と、4℃!!
無いわー。と日本語で呟いても周りの誰にもわかりません。
さすがに他の川のように、長時間水に入るのは不可能なので、谷に日が差し込む時間から水に入り上手く冷えないように移動しながら撮影します。
でも、結局コツなんて無いです。
タダ、ガマンスルダケデス。ハイッ。
そして、機材も低温でやはりバッテリーの消耗が他よりも早い…
基本的には毎日水に入りながら、時々午前中は森の様子も撮らなきゃと言いつつ森を歩いたりしながら上手く自分のヤル気とお付き合いしてました。

あ…帰ってました。テヘ

えーと、行くと言ってから帰ってきた報告してなかったですね。

いつものように、船の都合に左右されますが、無事出発。
一年ぶりに再会する友達は、だいたい今年のアフロに驚いてくれます。なかなかナイスな反応を頂きました。

ここの海は冷たすぎるので、ライフベストでは無く、ライフオーバーオール?着用が義務づけられています。
写真のオレンジのオーバーオールです。
荷物を適当に積み込み、出発。

荒れていると酷い目にあう海ですが、夕陽の中船はマイペースに進みます。

途中、ラッコやアザラシが出てきたりなかなかのクルーズ日和です。

無事夜には目的地に着き、とりあえずはトラブルも無く、他のクルーの歓迎を受けました

さーて!

それでは、今年の本格的な撮影の始まりです!

まずは、昨年と同じく船で出かけてきます。
戻りは八月頭に戻ってくるつもりです。
そこは、去年機材を水没させた場所ですが
かなり透明度の高い冷たく透き通った水の流れる川です。

機材の準備も万端。
これから毎日寒い水の中かぁ
と若干憂鬱ですが、最前線で全力投球
してきます。



船待ちで待ちぼうけ。
カフェと図書館に8時間…つ、疲れた。

ハーベスト

あまり天気の良くない今年のアラスカ。
まだサケの姿も見かけないので身体がなまらないように、トレイルを歩き回っていました。
しかし、それでも写真が撮れないストレスは溜まっていくもの。
独り言を山の中でつぶやく訳にもいかないし。
楽しみの食事もいつもと変わらないもの。
車の天井を叩く雨の音で目を覚ますと、目の前に広がる木々の葉が強風でひっくり返り白い裏地を晒してた。
「今日は……どうすっかなー」と思ったけど、
気になっていた潮見表を取り出して潮位を調べると、ギリギリ車を飛ばせばまだ干潮に間に合う時間。
悪天候にイライラしながら、こじつけでシャッターを切るよりも、
すっかり忘れて頭を切り替える事も必要。
一人でいる事での決断の気楽さもあるけれど、また一人でいる事での決断の迷いもある。
両方が頭の中でグルグルと暴れている。
この決断で今日を無駄にするんじゃないだろうか?
しかし、こういう時に出来る事は一つしかない。
それは考えるのを辞める事。
結局5分も迷わず、クルマを飛ばして、シャベルとバケツを借り、
フィッシングライセンスを買って見事に到着。

Harvest
ハーベスト。収穫。
自然の恵みを享受すること。
Clam digging
簡単に言うと貝掘り。
干潮の浜辺を歩き回って、貝の呼吸口を探してシャベルで掘り進む。

今日のターゲットはこの「Razor Clam」
上のノズルで呼吸し、下から足が出て、振動を感じると一気に下に砂の中を潜って行く。
つまり、掘り始めると同時に貝が潜るのが早いか、掘り当てるのが早いか競争になるわけです。

しかし、こちらも経験者。
彼らには無い、経験と知恵を武器に一気に掘ります。

一人もくもくと掘り続けていたので、
途中の写真はありませんが、見事に2時間で58個をGET。

一人一日で60個までのリミットなので、まあまあのスコア。
実はこの貝は味も良し、掘るのも楽しいですが、
食べられるように殻を取り、砂を洗い流して綺麗身を切り分けるのにとても時間がかかります。
くたびれたので、特に詳しくは書かないですが、熱湯につけて殻を取り、その後水で一つ一つ砂を洗い流してから丁寧に切り分けてワタをとる。

ま、簡単に言うと、
コレがこうしてああなってから、
こうなって、それから

こうなったらお終いです。
簡単に言うと、4時間。
掘るのより大変です。
まあ、そのおかげでこんなご褒美もありますが…

バターガーリッククラムパスタ
やっぱり鮮度が命です。

今年のネタは…

さて。
だいたいの友達にも会えたので…

今年はアフロにしました!!
いやー、前からやってみたかったんだよね。
人生初パーマ!
風呂に入るとボリュームダウンしますが、なかなかのボリュームです。
念願叶いました。
しかし、今年は今までにないマメな更新。
近年、アラスカでもフリーのWIFIスポットが増えてきました。
iphoneのアプリでアップ出来る手軽さも手伝って、なるべく出来るうちに更新しておこうと心がけています。
どうせ、八月に入ると忙しくなってくるので、これどころではないでしょう。

やっと河口にサケが入ってきたようです。
しかし、シーズンはまだまだこれから。
「あ、サボってる」
なんて言わず、温く柔かく見守って下さい。
写真?
撮ってますよ。
チョット、D800のあまりの高性能っぷりに持て余してますけど。
今までのデジタルのように手軽に撮るには解像度が高すぎて、細心の注意を払いながら気合いいれて撮らないと、使い物にならない画ばかりになってしまいそうです。

NEWカメラの憂鬱

今年から新しくニコンのD800を使い始めました。
今日、早速綺麗に晴れていたので、テストを兼ねて森の様子を撮影しにトレイルを歩いて来ました。


と思ったら、早速、蚊の歓迎と…


途中で、今年初のブラウンベア。
まだサケが上がってきていないので、植物の根っ子の食痕の散らかったトレイルの上を歩いていた帰り道。
往路で、ここは出そうだなーと覚えていた場所で、見通しが悪く、薮になっている場所で手を叩きながら声をかけると、バサッと飛び出して来ました茶色い塊が。15メートルほどの距離でしたが、2.3秒であっという間で逃げていなくなってしまいした。
もちろん、写真なんか撮っている暇は無いです。
まあ、さすが筋肉の塊。
いいダッシュでした。
何よりこういったフィールドでは経験と注意力が一番の武器になります。
で、クルマに帰ってから撮った写真を見ようとすると、見事に現像ソフトが認識出来ないとか表示。
かなり好感触の良いカメラですが、こんな所でミソがつきました。
せっかくの写真が見られない…
調べて見ると、D800に対応するのは、新しく出たバージョンから…
また?買うの?

おらんのう

おりませんよ。
魚が…
毎年、こんな事をブツブツ言ってる夏です。
焦ってもしょうがないし、来たら来たであっという間に忙しくなるし。

高速道路への合流への加速のように、彼らのスピードに一気に集中力を上げて撮影していく感覚は他の動物では味わえない濃密さ。
それまで、ダレいるわけにもいかないのですが、アラスカについて10日も経って撮影が出来ないと困ってくる訳です。
もう少し南に行ってみますかな?

何かを祝うという事


友人宅に滞在していると、
色んな文化があるんだなと感心する事がある。
今日、友達の息子に子供が生まれたからと、
お祝いを買ってきた友人。
買い物袋を見てみると、ちょっと趣味がいいとは言いづらい変な柄のベビー服と一緒に豚の貯金箱。
様子を遠くから見ていると、ガラスのボウルに貯めていたコインをひっくり返して、シルバーコインだけ次々と貯金箱に放り込んでいく。
テレビを見ていた自分の娘も呼びつけ二人でいろいろ喋りながら、次々とコインを入れていく。
なんと無く見ていてピンときたので、仲間にいれさせて貰ってコインを一緒に入れた。

コインのたくさん詰まったブタの貯金箱を新生児誕生のお祝いにあげる。
その子供の成長と富に恵まれることを祈って。きちんと、コインをシルバーのコインと銅のコインを選り分けながら。
最後にドルの紙幣を幾つか入れておしまい。
せっかくだからと、両替したばかりで新札のままの紙幣を何枚か入れました。
僕がわざわざ新札取り出してきたのを見た友人は、
「昔は二ドル札の新札でオフクロが誕生日とかにお小遣いくれたなー」
と懐かしそうに呟いていました。
なんとなく、そのつぶやきを聞きながら、昔祖母に貰ったお年玉のことを思い出していました。
人と人をつなぐ何か。祝うという事の本質、祈りは文化が異なれど同じものを持って人の間を行き来している。
そして、世代として友人と僕らの世代が失いつつあるものがある事を感じた夜でもありました。

ホームベース


やっと、時差と気候に体が慣れてきました。
今年も友人のキャンプ場がホームになります。


このオンボロトレーラーがベースになり、
色んなところに出かける事になります。
また、帰ってくる家にもなります。
あんまり、ボロいのと中もボロボロなので比較的マシな写真を撮り直したのですが…
今回は知り合いの釣りガイドが、
ほぼ新品のオーブントースターと電熱コンロをくれたので、ちょっとした料理と電源のある家に近づきました。
あとは水ですが、まあここは妥協しましょう。
ボロとは言え、帰ってくる場所があって、
そこで一人で過ごせると言うのは良いものです