現像開始

今回の総決算
いよいよフィルムを現像する段階になりました。
トータルの撮影フィルム
211本
その内、41本はアメリカで現像してきたので、残りの170本を今回現像します。
この現像はフィルムで撮影している中でもっとも重要な段階です。
なぜなら、一度現像するともう取り返しが付かない。
一般では写真屋さんに現像に出すとそれでお終いになるのだが、
実は現像の工程を調整する事によって、表情を変化させて全く
違う作品にする事も可能である。
しかし、元がしっかり撮れていない作品を
きちっと形にするのは不可能だし、わかりやすく言えば、
作品を自分好みのタッチに仕上げるという事になる。
そこで、全部を一度に処理するのではなく、
フィルムの種類ごとに2本ほど抜き出して
それを現像してみて最終的な判断を下します。
今日はそのサンプルをチェックに行く日。
今回の成果がもう少しで明らかになります。

帰国しました。

無事日本に帰国しました。
アンカレジ〜ソルトレイクシティ〜ロスアンジェルス〜成田
ロングフライトで飛行機に乗っている時間を合わせただけでも
19時間。

とにかく疲れた・・・・
乗り継ぎの時間には余裕を持っておいたが、
それでも必ず搭乗には走る羽目になった。
カメラ、PC、フィルムと
セキュリティチェックに時間がかかるものばかり
持ち込むので、ただでさえ混雑して時間がかかるのに
これではどうしようもない。
へろへろになりながら何とか無事帰国。
このエントリも時差ボケのままアップしてます。
とりあえず、ただいま。

ハロウィン?

10月31日が近づいてきました。
アラスカはオレンジ一色です。
そう、「ハロウィン」です。
スーパーでは巨大なオレンジ色のカボチャが売り出され、
リサイクルショップではコスチュームや
小道具が大売り出しです。

子供達がお化けなどの格好をして、家を回って
「お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ〜」
とそれぞれの家からお菓子をもらう
子供にとっては楽しいイベント。

子供達もどんなコスチュームを選ぶか真剣そのもの。
でも、日本にはなじみのないイベント。
よーく冷静になってみると、


夜、ドアを開けるとこんなのが集団でねり歩いているかとおもうと
すごーく怖いんですけど・・・・・
しゃれにならん。
P.S.番外編
リサイクルショップでこんなのを見つけました。


アラスカで「長渕剛 乾杯」
(ロンブー 淳によく似てるなあ)
あなたに出会うと思わなかった・・・・

帰国間近

さて、いろんな事がありましたが、今回の旅も
終わりが近づいています。
まず、ドライバーズライセンス GET!!
やりました。
「免許はアメリカで取った方が楽」
と聞いた事があるけど、確かに内容は日本に比べれば
内容は簡単だし、道も広いので運転も楽だとは思うけどそれでも
英語の引っかけ問題を理解しなきゃならない学科試験と、
勝手の違う中であっちに行け、こっちに行けと
英語で指示されながらうろうろ運転しなければならない
実技は「本当に楽か?」と首をかしげてしまいます。
この試験のためにわざわざCamperからレンタカーに切り替えたのに
保険の書類の不備(普通レンタカーではあり得ない)や、
テールランプが点灯しない(これもあり得ない)などの
おかげで午前中の試験が見事に中止になり、
急遽友人の車を借りて午後の試験に臨み、
とにかく苦労した甲斐あって、ようやくとれました。
(やはり、しっかりしたレンタカー会社を選んだ方がいいですね)
ちなみにヨメも無事仮免をパスしました。
とりあえず、今回はここまで。
こちらの仮免は2年間の有効期限があるので、
来年、実技をパスすれば無事免許取得です。
(本免許は5年の有効期限です。)
前に友達にあげた僕の作品が無事、フレームにマウントされ、
アートショップから納品されました。

これは写真を撮っていてもっとも好きな瞬間でもあります。
自分の作品を生かすも殺すもフレームをどう合わせるか次第。
あえてマット面を大きくするためにワンサイズ大きいフレームを指定したり、
あるいはその写真にマッチングする枠をうまく選んだりと
さまざまな工夫やいろいろなやり方をやり遂げて初めて
作品を生かす事が出来ます。
スチール写真の魅力はその写真を読む事にあります。
じっと足を止めて隅々までじっくりと眺め
そこにある物を読みとって、ゆったりとその世界に浸る。
これは理想ですが、残念ながら僕の作品にはここまで至る
力は未だありません。
それでも、実際にその生き物を見た事がある人たちが
その生き物を撮った僕の写真から、何かを感じ取って足を止める
その事は何より僕にとって励みになります。

さて、のこりあと4日のアラスカライフ!
あとはこちらで追加で購入したフィルムの現像と荷造り、
そして、来年への準備で費やされるでしょう。

冬支度

例年ならきっと今の季節はもう
平地に降雪が始まっているらしい。
しかし、今年は延々と降り続く雨。
それでも確実に冬はやってくる。
今はアンカレジに滞在している
いくらキャンパーといえども都市の好きなところで
泊まっていいはずがない。
そこでキャンプグラウンドに泊まっている。
シーズンオフだが、未だに沢山のモーターホーム。
巨大なモーターホームはたいていリタイアした老夫婦が
住んでいて、家財道具や家などを売り払って
そのお金でモーターホームを買い、自分の国を旅する。
このアラスカの土地でそんな人たちとよく出会う。
季節的にはそろそろ厳しくなってくるはずだが
まさかこのまま冬を越そうとする人たちが
いるとは思わなかった。

断熱材で車の下を囲い、下からの冷えをシャットアウトし、
排水と水道を凍結しないようにきちっと断熱材を巻く。
しかし巨大なモーターホーム

普通車のように停まっている車。
これHammer<ハマー>ですけど。
たまに日本でも見る車です。(車の判らない人ごめんなさい)
ハマーへのリンク
この写真の右のバスがハマーを引っ張って移動します。
さすが京都議定書否決の国。
ガス代はこのバスを走らせると、
1ガロン(約3.78L)= 1マイル(1.6km)
さすがですね、デカイもの好きアメリカ人。
それでも今年は原油価格高騰のせいか、今までの見てきた年に比べると
やはり少ない気がする。
P.S.
今日雲間から少し日が差したので
「この隙を逃すな!!」と
自動車免許再試験の勉強のヨメを残して
トレイルを歩き撮影に出かけました。
ムースのオス3頭のグループを発見し
2時間ほどのんびり撮影していました。
天気が良くなる事に望みを託したものの、
あっという間に谷間を抜ける南風が
強くなり、やがてその突風に乗って
雨雲がやってきました。
少ないチャンスだったので何とか晴れて欲しかったが
願いむなしくポツポツと降り始めました。
それでもまだ何とかなるかもと
少し粘ったところ、撮影できないほど暗くなり、
さらに雨が風に乗って吹き付けてきます。
慌てて撤退したが、時すでに遅し。
車まで戻る間、
背中から吹き付ける雨のおかげで体の後ろ半分だけがずぶ濡れになりました。
しかし、この引き際がいつも難しい。
欲がじゃまをするワケじゃないけれど、
あと一歩をいつも期待してしまう。
確かに早くでればいつもひどい目にあわずに
済むけれど。

晴れはどこだ!!!!!

ずーーーーーと曇りで小雨がぱらついて。
どうなんだ!!アンカレジ!!
一切写真は撮れません!
モチベーションは下がる一方。
それでもやらなきゃいけないことは
沢山あるわけで。
次回の準備、自分たちの荷物の手配。
情報の収集、道具のメンテナンス。
なんやらかんやら。
はー、しかしもっとスムーズに
いろんな事がいかないのかしら。
ちょっとうんざり気味の今日ですが、
おかげでまめにブログにアップできます。
とりあえず、今日は運転免許の仮免をゲット!
一日かけた甲斐があった
これであとは行動の実技テストをこなせば、
本免許取得になり、
来期に車を買う時に車に掛ける保険が
手に入ります。
一歩前進でも、直接的に写真にはあんまり
関係しません。でもこれが
ないと写真が撮れないのです。
”いかなる事があろうとも自分の情熱を維持して
写真を撮りにフィールドにでる”
これがまず最低限にしなければならない事。
これがあって初めてそれから技量や感性の
勝負になります。
ボーイ!明日は晴れてくれよ!!

Bansyuu バンシュー

天気の悪い日々が続き、ずっと雨の日々が続いています。
おかげで、冷気が地面の上にまるでたまっているかのように
足下から冷えてくる日々です。

こんな事ばかり、書いていると暗いようですが、気分は上々です。
この晩秋の時期の薄暗く曇った肌寒い秋が、
やがてやってくる冬を予感させてくれるとともに、
植物も動物も全く違う季節へと切り替わっていく様子が、
目には見えないけれど空気に漂っていて、
言葉にしたり、写真では表現できないけれど、
静かに時間が流れていく事を感じさせてくれる。
さて、前にサーモンの骨を撮りに行った湖に
また撮影に出かけました。
今回は、産卵後打ち上げられた鮭の死骸を撮影する事です。
サーモンの旅の重要なパートになります。
彼らの命は終わりますが、そこからまたたくさんの
命へと目には見えない形でつながっていく
スタートにあたる部分です。
秋の雰囲気の漂う
湖への歩きなれたトレイルを、
静かに歩く。

歩いているとトレイルの上にラズベリーアイスクリームが!!

そんなわけない。
クマの糞。
クマの糞はクマをさけて行動する上では一番の目安になる。
なぜなら、雑食でいろいろな物を食べるクマが今このエリアで
何を重点的に食べているかが一目でわかる。
つまり、自分がこれから行く所に糞の中にあったそれらが
あるという事は、クマがその場所を利用する可能性が
高く存在しているという事だ。
さて、このラズベリーアイスクリームはずばり木の実を
食べている頻度が高そう。
しかし、この時期は湖岸に打ち上げられたサーモンの死骸を
食べる事もあるので一応用心はしておく必要があります。

やがて湖岸にたどり着くと落ち葉に混じって
打ち上げられた大量のサーモンの死骸が異臭を放っていた。
この腐敗臭は浜辺に近づく前にすでに森の中まで
匂いが漂っていた。
つまり、クマにとっては刺激的で魅力的な匂いがする
場所でこれから撮影する事になる。
周りの様子に注意しながらも撮影開始。
深紅の体をしていたサーモンはまるで
すべてが抜け去ってしまったかのような
白い色に変わっていた。

その様子に満足しながら撮っていると
子供の集団が・・・・・・

以前にも撮影していると子供が遠足にやって来たが、
今回も当たったようだ。
しかし、今回はアラスカの子供達のタフさをみた。
鮭の腐敗臭で満ちた湖岸でなんのためらいもなく、
ランチを食べ、お菓子を楽しんでいた。
すごいなあ、日本だったら絶対に
子供が引いている状況なのに。
再び撮影に集中して黙々とシャッターを切る。
一息つくと、すかさずヨメが近づいてきて一言。
「さっき怖かったんだけど」
「え、何が?」
「子供が遊ぶ中、一人黙々と鮭の死体の写真を撮りながら
ふっと顔を上げて何も言わずに遠くを見ながら、
にやーっと笑ったんだよね」
「え、そんな事してた?」
「うんしてた、気持ち悪かった」
自分では「いい仕事したなー」
と感慨にふけった覚えはあるけど
にやーっと笑っていたとは。
やがて子供達は引率の大人達につれられて、
引き上げて行った。
そのまま鮭の死骸を撮り続けていると
ふと顔を上げた時に100メートルほど向こうの湖岸を
クマがのそのそ歩いていた。

(写真をクリックすると拡大して見る事が出来ますが、拡大しても
ほとんど判らないかもしれません)
おー、やっぱりいるなあ。
なんとなく来るだろうなと思っていたので、
驚きもしなかった。
なぜならクマの餌場にいるのだから。
視界の開けたオープンな場所で風が強くこちらの様子にも
気づいていない。
この状況下であれば、近づく前に声をかけてクマに気がつかせて
クマが逃げられる選択肢をクマに用意してあげるのが上策。
と、言っても撮影できる状況なので、少しの欲がでて
様子をしっかり見ながらシャッターを切る。

観察していると、まだ打ち上げられたサーモンには手を出さず、
力なく波打ち際を漂っているサーモンを捉えて食べ、のんびりと歩いてくる。
わずかながらもおいしい食事にこだわっているようだ。
このあたりで気をつかせてやれば、こちらもクマが何か行動した時には
余裕を持って対処できるなという距離で
「ヘイ!ベアー!!」
とふたりで大きく手を振りながら、
大声で何度も呼びかけた。
すると気がつかないのかそのまま歩いてきた。
さらに呼びかけ続けると、何かある事に気がついたクマは
立ち上がり、こちらが人間である事に気がつくと
ゆったりと体をひるがえして、森の中に消えた。
自然な状態に生活しているクマの対応だった。
予想していた通りに事が運び、人を避け、
そしてクマは森の中に消えた。

クマが森に消え、サーモンの撮影は満足できる内容だったので、
引き返す事にした。
そのままクマに呼びかけ続けながら、急に遭遇した時のために
クマスプレーは抜いたまま歩いた。
もちろんその後クマと会う事はなく無事、湖を後にした。
その後、アンカレジへ移動。
ちなみに移動中のBGMはフジ子ヘミングの「ラ・カンパネラ」
秋の静かな雰囲気にピアノの音がよく合う。
アラスカのスケールの大きな風景に対してもまったく
違和感の感じないすばらしい演奏だ。

この後数日間はムースの撮影に取りかかります。
問題はフィルムが足りないこと。
残り時間は少ないけれど、1秒でも長くフィールドで過ごし、
シャッターを切る事にこだわりたい。
さーて、困った。

さあて、10月になりました。PART2

サーモンの採卵調査の後、すぐに今度は
ムースの研究施設へ。
ここは町から隔離された巨大なフェンスの中に
ムースを飼い、そこからデータを集め研究しています。
以前からこの施設は気になっていたのだけれど、
一般非公開。
当然、コネクションも実力もない人間にとっては想像が
膨らむばかり。
「大きな野生動物の学会があるので、
常駐の動物学者たちはアンカレジまで出張する。
その期間、フェンス内の動物に餌をやる事。」
これが今回の撮影の許可をもらうための条件でした。
条件を書くと堅苦しいが、つまりは
「行くんだったら、餌もやっておいてよ」
野生動物写真家として、人に飼育されている状態の
動物を被写体としては選ぶ気にはならなかったけれど、
フィールドではなかなか難しい、いろいろな観察が
できれば、そこから作品につながるイメージを得られるかもしれない。

今回の狙いはずばりその一点。
何はともあれ大きな期待を胸に
ゲートをくぐり、フェンス内に入ります。

調査研究施設と言っても、とにかく規模が日本と桁が違う。
まずフェンスの大きさ。
巨大と書いたが、フェンスの大きさが1マイル×1マイルの四角形
をフェンスで囲み、ほとんど自然の状態で飼育している。
そしてこのフェンスが4つほど隣接して建てられている。
一応フェンスで保護されていても中にクロクマが住み着いていたり
ムースが死ねば、ブラウンベアが入り込んで死体を綺麗に平らげるし、
一応餌箱はあるものの、ほとんどの個体は自然にある植物を食べて
生活している。
そんな状況で繁殖期を迎えて粗野で乱暴になっている今のムースに
近づけば、当然突進され大怪我を負いかねない。

ムースと同時にカリブー(トナカイ)も研究対象として
飼育されている。



そして、ムース。
オスとメスを分けてフェンスに入れてあるのだが、
その両方のフェンスが隣接する部分には
オスに惹かれてメスがやってくる。

じっくりと観察。
とにかくじっくりと。

じっくり、じっくり

おいおい
ここまで近づけたのも、後で話を聞いたところ、
母親が交通事故で死んだ個体を人工保育で育てた
個体だった上に物理的にフェンスによって遮断されていたから。
それにしても日常的にムースを観察していても
この距離に近づく事はまずないので、
何より安心と判っていても怖い。
(アラスカではクマと同じように危険な動物として
注意されている。時々、人がムースに突進され、
倒された後、前足で踏みつけられて殺されている。)
しかし、ここまで近づいたおかげで、普段にはあり得ないが
オスの繁殖期独特の匂いを感じる事が出来た。
この強烈な匂いでメスは体内での繁殖の準備を促進させる。
ムースの繁殖の重要な鍵になる物は匂いだ。
強烈な匂いはメスを惹きつけるだけでなく、風に乗って
まるで呼ぶかのごとく他のオスをも惹きつける。

天気は悪かったがとにかく全く写真を撮る事は考えず、
車の中から、そして時にはフェンス越しに
ムースを観察し続けた。
繁殖期。
1頭の雄と半日を過ごす。
車の窓を開けたままにしていると
雨に濡れた落ち葉の匂いの中に
ときおり強烈なムースの匂いが漂ってくる。
森に降る雨音の中にメスを呼ぶオスの声だけが
響き、それに惹かれメスが姿を現す。
フェンスに阻まれ、彼らの思いが実る事はない。
しかし、まるでそんな事を意に介さない彼らから
生き物の持つ生命の力を感じた。
エネルギッシュなサーモンの撮影から
全く違うムース撮影のテンポへの
切り替えもきっとフィットできるだろう。

つかれて寝ているヨメに興味をもつムース

さあて、10月になりました。

アラスカも今日から10月です。
一昨日から空気の感じが変わり、北国独特の黄葉が終わって、
雪が降り始めるまでの秋と冬のわずかな隙間のような、
雰囲気が空気に漂っています。
じりじりと冬が押しあがってきて
空気の冷え込みがキリッとし始めました。
この1週間は動物の調査に同行し、
サーモンとムースの調査に参加しました。
まずは知り合いの動物学者にサーモンの採卵調査に誘われ、
普段のフィールドにしている川の上流にある湖で
産卵しはじめたベニザケを観察に出かけました。

通常サーモンの産卵というと川がイメージされますが、
アラスカのサーモンは湖でも産卵します。
サーモンの旅を写真を使ってまとめ上げる事が
目的なのですが、
今回の湖での産卵を観察できる事は
写真を撮る事に対して大きなプラスになります。
(ブラックベアを撮影するために待っていた川の上流にある
湖です。)
作業は2日間に分けられていて、まずは湖の浅い岸に産卵のために集まって
きたサーモンを1日目に捕獲してオス・メスに分けて置き、
2日目に卵と精子を取ります。

網を使ってサーモンを囲い込み、



そこから1匹ずつ手で網に絡まったサーモンを取り外して
オス・メス分けてネットに投げ込みます。
このとき、絡まっているのはサーモンの鋭い歯!
川に入ったサーモンは産卵に向けて体色が変わるのと同時に、
顔の形も変わり顎が湾曲してカーブを描き、大きく歯がせり出してきます。

網からはずす時は歯に網が複雑に絡み合っている上、サーモンが暴れるので
手を怪我をしないようにする事と、無理にはずしてサーモンを殺さないようにする事の両方に気をつけなければなりません。

1日中水につかっていたおかげでしっかり芯まで
冷えましたが、とりあえず予定の数まで達したので
1日目は無事終了!!
2日目は晴天!


いよいよ採卵に取りかかりますが、ここからはプロの仕事
手慣れた彼らは役割分担し、あっというまにサーモンから
採卵し、パックしてクーラーにしまっていきます。

まるでフィッシュマーケット



気がつくとプロの中にヨメの姿が・・・

アラスカのフィールドワーカーに混じってもすっかり
遜色のない見事な働きぶり!!
それに対して、この写真の充実ぶりをみてもらえれば、
僕のボランティアワーカーとしての貢献度も
一目でまるわかり!!
2日目晴れてくれたおかげで、いくつかのイメージができたので、
来年は水中カメラを持参して撮影に望みたいと思っています。
薄いグリーンの水中を真っ赤なサーモンが
産卵する様子は想像するだけで、
フィルムの巻き上げ音が聞こえてきそうです。

採卵調査もクマが現れる事もなく無事終了。
2日間の作業でじっくりとサーモンを観察し、
また新たな撮影フィールドを知った事でこれからの
撮影に大きなプラスになりました。

Camper

アラスカの秋もいよいよ深まり、
冬を目前に控えた物寂しい風が吹いています。
撮影に対する自分のリズムも、夏のエネルギッシュなリズムでは
捉えきれない秋の静かなテンポを前に、少しずつ
スローにシフトしています。
山の頂上がパウダーシュガーを振りまいたように
白く色を変え、黄葉の色の山肌と共存している。
まるで、その様子は秋と冬が同居している今の季節を表している
ようだ。

これからの季節に備えてレンタカーをアップグレードした。
寒さに備えてもあるが、何より夜露に濡れたテントをたたむ手間も省けるし、
悪天候でも料理をする事が出来る。


これはピックアップトラックにキャンピングカーのようなユニットを
積んだ物で、こちらの動物写真家がよく使っている。
中にはベッドルーム・キッチン・シャワー・トイレ・冷蔵庫が
コンパクトに収納されている。




およそ野外で望める限りの快適さがこのキャンパーには積み込まれている。
この快適な環境は肉体的ストレスをかなり軽減してくれる。
しかし、被写体が動物である以上、毎日テントに泊まっていた日々は
ある意味で動物の生活に近かった。
季節の微妙な変化や太陽の移り変わりを感じる事が出来た。
肉体的なストレスの軽減と感覚の鈍化。
どちらが大きく撮影を左右するのか?
写真にはその人があらわれるとよく言われる。
その言葉には嘘はないと思うが、
その写真を撮った人の人間性はあらわれない。
その写真を撮った人の被写体に対するその人の感性が
表現されるだけだと最近、感じるようになった。
快適な生活が自分の写真に何をもたらすのか。
でも心配はいらないかもしれない。
借りる時に念を押された。
「水が凍るかもしれないけど大丈夫?」
快適なのは今だけなのかもしれない。