さあて、10月になりました。

アラスカも今日から10月です。
一昨日から空気の感じが変わり、北国独特の黄葉が終わって、
雪が降り始めるまでの秋と冬のわずかな隙間のような、
雰囲気が空気に漂っています。
じりじりと冬が押しあがってきて
空気の冷え込みがキリッとし始めました。
この1週間は動物の調査に同行し、
サーモンとムースの調査に参加しました。
まずは知り合いの動物学者にサーモンの採卵調査に誘われ、
普段のフィールドにしている川の上流にある湖で
産卵しはじめたベニザケを観察に出かけました。

通常サーモンの産卵というと川がイメージされますが、
アラスカのサーモンは湖でも産卵します。
サーモンの旅を写真を使ってまとめ上げる事が
目的なのですが、
今回の湖での産卵を観察できる事は
写真を撮る事に対して大きなプラスになります。
(ブラックベアを撮影するために待っていた川の上流にある
湖です。)
作業は2日間に分けられていて、まずは湖の浅い岸に産卵のために集まって
きたサーモンを1日目に捕獲してオス・メスに分けて置き、
2日目に卵と精子を取ります。

網を使ってサーモンを囲い込み、



そこから1匹ずつ手で網に絡まったサーモンを取り外して
オス・メス分けてネットに投げ込みます。
このとき、絡まっているのはサーモンの鋭い歯!
川に入ったサーモンは産卵に向けて体色が変わるのと同時に、
顔の形も変わり顎が湾曲してカーブを描き、大きく歯がせり出してきます。

網からはずす時は歯に網が複雑に絡み合っている上、サーモンが暴れるので
手を怪我をしないようにする事と、無理にはずしてサーモンを殺さないようにする事の両方に気をつけなければなりません。

1日中水につかっていたおかげでしっかり芯まで
冷えましたが、とりあえず予定の数まで達したので
1日目は無事終了!!
2日目は晴天!


いよいよ採卵に取りかかりますが、ここからはプロの仕事
手慣れた彼らは役割分担し、あっというまにサーモンから
採卵し、パックしてクーラーにしまっていきます。

まるでフィッシュマーケット



気がつくとプロの中にヨメの姿が・・・

アラスカのフィールドワーカーに混じってもすっかり
遜色のない見事な働きぶり!!
それに対して、この写真の充実ぶりをみてもらえれば、
僕のボランティアワーカーとしての貢献度も
一目でまるわかり!!
2日目晴れてくれたおかげで、いくつかのイメージができたので、
来年は水中カメラを持参して撮影に望みたいと思っています。
薄いグリーンの水中を真っ赤なサーモンが
産卵する様子は想像するだけで、
フィルムの巻き上げ音が聞こえてきそうです。

採卵調査もクマが現れる事もなく無事終了。
2日間の作業でじっくりとサーモンを観察し、
また新たな撮影フィールドを知った事でこれからの
撮影に大きなプラスになりました。

投稿者: WildHarmony

1978年 東京都生まれ 東洋工学専門学校(現 東京環境工科専門学校)にて、フィールドワークの基礎を学ぶ。 北海道・知床、自然トピアしれとこ管理財団(現 知床財団)に通年で2年間ガイドとして勤務。 様々な経験を積み、クマのいるフィールドで行動する技術を学ぶ。 知床のフィールドで、写真で生き物を撮す事の愉しさを知り、 自分を通して自然を写真で表現することの奥深さに触れる。 北の自然へのあこがれに従って、その後アラスカへ渡る。 アラスカの広大な土地を巡る鮭の旅に触れ、 巨大ないのちのサイクルに自分のテーマ「鮭」を見出す。 Kentaro Yasui Born in Tokyo in 1978. Learned the basic skill of fieldwork from Toyo-Kogaku special school. After graduating I worked for Shiretoko foundation in Hokkaido. and guided in Shiretoko National park for many people in two years. Because of my admiration for nature of the north, I went to Alaska to photograph its beauty and wildlife. I mentioned of expressing nature with a photograph through oneself. Currently resident in Japan.

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