飛べない豚は・・・

「飛んできます!」
と言ったまま、何も更新しないとまるで、行方不明になったかのようですが、
無事帰ってきました。
予定していた日は悪天候のため、次の日に順延になりました。

翌日は朝は曇りだったものの、無事昼頃から太陽が雲間からのぞくと、
アラスカの強烈な光が差し込んだ。

アンカレジのメリルフィールド空港(民間専門の空港)で
4人乗りセスナをレンタルし、いざ出発。
ちなみに出発前に使うレンズとカメラ、そして
フィルムを持って、ウェイトを計ってみると、
なんと210ポンドもありました。これはまあ、
僕が重いのもありますが、普段腰痛に悩まされている理由も、
実は持っているカメラ機材がかなり重いのも、
原因の一つなんだなと実感しました。
(飛行機から撮るので、三脚と持参しないレンズの分は含んでいないので、
普段はもっと重い。)
アラスカはタクシー感覚で飛行機を使います。
でも、それに対して日本人の僕の感覚では飛行機はただ、移動手段であって
どちらかというとあまり人がそれに関わっている感覚がない。
「飛行機はたまに落ちるけど、とにかく乗れば無事目的地まで
運んでくれる。」
と、理解していたけど今回小型のセスナに乗った事で、
人が飛行機を操縦して、空を飛ぶという事が
非常によくわかった。

機長自ら、滑走路にアプローチです。

アンカレジを離れ、南に向かって出発です。
今回の目的はいつも撮影しているキーナイの川に集まるサーモンを
空から撮影する事。
いざセスナに乗ってみると、いかにもプカプカと浮いているようで頼りない。
4人乗りの狭い空間がまるで空から糸でつられているかのように
ちょっとした風や微妙な操作に敏感に反応する。
大きなジャンボに乗っていると判らない事だけれど、
やはり飛行機は空を飛んでいるのだ。
やがて、飛んでいる感覚になれてくると
アラスカの広大な景色がパノラマとなって眼前に広がっている。


空からの視点。
今までの自分では見る事が出来なかった世界。
圧倒的に自分の目の前に存在するアラスカの景色。
期待通りの存在感で自分を圧倒するのだが、
そこから感じ取れる満足感とは別にもう一つの
疑問のような感覚が自分の中に浮かんできた。
「自分が普段追いかけている生物の世界をミクロとすると
今自分の目の前にマクロの世界が広がっていて、
このマクロの世界には無数のミクロの命が存在している」
この感覚を表現しようと飛行機からの空撮という手段を選んだものの、
自分の中に今まで蓄積してきた「生物を観察してきた時間」から感じ取った
感覚と今眼前に広がる景色から感じる感覚がリンクしない。
その疑問を抱えたまま飛行機はいつものフィールドの上空に到着。
上空を旋回しながら、撮影を開始した。


思い描いていた通り、河口部分にサーモンがたまり
ターコイズブルーの川に見事なコントラストを描いている。
ねらったポイントの上空を猛スピードで通過する。
「空撮の場合、押し寄せる状況が目の前にただひたすら展開し、
その状況に押し流されることなく冷静に状況に合わせてシャッター
を切り続けなくてはならない」
事前にもらったアドバイスをまさに痛感した。
窓を開け、逆風の中自分の全体重でカメラをとばされないようにしっかりと
カメラをホールドしながら、ズームレンズで正確にフレーミングして
マニュアルでピンを合わせる。
そして一度の通過に合わせて、フィルムの残数を考える。
撮りすぎても上空を通過し終わる前にフィルムが終わってしまう。
かといって、フィルムをセーブしていると思わず一瞬の反応に
遅れてしまい、撮り逃がす。

自分の未経験の世界が駆け抜けていったが、
結局最後まで自分の感覚とリンクできぬままだった。
初めての経験としてたくさんの収穫があった。
今回得た経験は次回への忠告として
しっかりと持ち帰りたいと思っている。
そして何より貴重なチャンスを与えてくれた
友人に感謝したい。

「飛べない豚はただの豚だ」
有名なセリフを飛行中に言おうと用意したのだけれど、
撮影中はとてもそんな余裕がなく、
また撮影後も必死にズームアップ、ズームアウトを
繰り返しながらマニュアルでピンを合わせていたおかげで
飛行機に酔ってしまい、帰着する寸前にやっと
思い出して言うのが精一杯でした。

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