at School

今回、偶然が重なって、ある人と出会い
その出会いから、アンカレッジの小学校で
授業で写真を見せてサケの話をする事になりました。
今までの自分の作品が
ようやく形を成し始めた今に、ちょうど
人に見せる機会が巡ってきました。
出会ったチャンスは全て挑むのがぼくのポリシーです。
川旅が終わってから次の日ほぼ徹夜で
スライドを組み、パソコンにスライドショーを完成させました。
未だ、やっと形を成しただけで、
まだまだ足りないことを痛感しましたが、
今の自分でぶつかっていく事しかできません。

エマージョンという日本語で様々な教科を勉強している彼らに
理科の時間を使って、サケの旅を紹介する事になりました。
アンカレジに住む小学生たちに自分の今までの
時間で表現してきた物をぶつけてきました。
結果は、それぞれになにかを感じてくれたようで、
まずは最低限の仕事は果たせたかなと帰ってきました。
しかし、第二言語の日本語でどこまで伝えられたかは
判りませんが、時として写真は言葉を必要とせず、
なにかを伝えてくれると信じて今までやってきました。

こちらの子はなにか質問があるとすぐに手を挙げて
質問してきます。

何より、まず今までずっと撮りためてきた写真達が
形を成してきた。
そして、その作品達がいよいよ外の世界に出すべき時が
来たんだと実感し、その充実感が今まで頑張ってきた
自分に報いてくれました。
そして、それと同時に今まで走り続けてきた
自分に対してシンプルな疑問が一つわき上がりました。
「なぜ、日本人のおれがわざわざ アラスカでベニザケの旅を追いかけているのか?」
シンプルで、皆が一番最初に聞く質問でありながら、
自分では今まで一度も考えなかった疑問。
自分なりのアラスカ見つけて、そのストーリーを追いかけたい。
そこが自分の原点であり、そしてその中で見つけたのが、
サケの旅。
いままで、特にサケに興味を持った事もないし、
まして釣りをするわけでもない。
アラスカを嫁さんと初めて旅した時に、
サケの命をかけて必死に戦う表情に驚かされた。
そしてキーナイ半島を旅する内に
全ての生き物たちがサケと関わって生きている事を知った。
言い換えれば、広大な土地の全ての生き物がサケたちが海から
帰ってくるのを待ち望んでいる。
そして、繰り広げられる
「次の生への為のいのちをかけた戦い」
一つ一つの場所を自分が旅するうちにその事が
ぼんやりと判ってきた。
その全てを自分の中に取り入れて表現してみたい。
この衝動こそが今までやって来た原動力。
自分を全てぶつけてもまだまだ足りない。
まるで何かに飢えているかのようだが、
その飢えにぶつかっていく充実感だけが自分を満たしてくれた。
そして、そんなわがままをもしも作品と呼べるのならば、
その上で自分を表現して生きていたい。
今まで自分の飢えを満たすためにやってきた結果である
自分の「作品」たちを初めて今回
何かを伝えるために使った。
そこで知った今まで自分の稚拙さと
と同時に自分にしかできないことがあること。
これをやっていく事はお金でも名誉でも自分の未来の為でもなく
何か自分の純粋に知りたいと思う心のためだという事。
そして、それを成し遂げるためには莫大な代償をこれからも
払い続けなければならない事。
「なぜ、日本人のおれがわざわざ アラスカでベニザケの旅を追いかけているのか?」
その質問に対しては
「自分の飢えを満たすため」
が答えではなくなっていた。
まるで何かを失ったかのように今、自分にはこの質問に対する答えが無い。
しかし、失ったのではなく、きっと何かに気がついたのだ。
その答えは言葉に出来ないが、きっとこの先言葉に出来る。
帰国まで残り1週間。
未だ撮影は続いている。
今回、自分の写真がまた一歩進んだ気がする。
この1週間でどこまで、自分を燃やせるか
その灰にこそ、次の芽吹きがあるはずだ。
keep running on an empty.

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