棒倒し

先日、親戚のおじさんが見舞いにやってきたときに
お土産代わりに一つ面白い話を聞かせてくれた。
そのおじさんは会社の経営者だったことがあって、
それもかなり厳しい時期に引き継いで、
数々の修羅場を乗り越え、
無事会社を別の人に引き継いだ人生の先輩だ。
今は引退してのんびり生活している。
来月はモンゴルに旅行に行くそうだ。
会社が倒産するということを棒倒しに例えて
話してくれた。
それは会社というのは棒倒しに良く似ているそうだ。
棒倒しは運動会でおなじみの1本の丸太をたくさんの人間で
支える競技だ。
勝敗は力づくで相手チームの棒を引きずり倒したら勝ち。
もちろん、両チームともに倒されないように必死で防御する。
会社というのはたくさんの人間が働いている組織で、
なおかつさまざまな種類の人間がいる。
これは棒倒しの棒を倒さないように支えている人間たち
も同じ事でいろいろな人間がいて、さまざまな方法で支えている。
がっしりと両手両足をつかって支える人や、
体ごと棒に抱きついて支える人。
あるいは両手で支えているようには見えるけれども
手を沿えているだけの人。
会社という棒が倒されそうになる時、
そういった「人の総合力」が試される。
「会社という物は売り上げや数字はいくらでもつくれるんだ。
 でも、本当にいよいよとなった時には、まるで、棒倒しのように
 なってしまうんだ。」
同じ人数で対戦しているのにどうして棒が倒されるのか?
それは、沢山の人が棒を支えているように見えるんだけど、
実は支えている人たちの心の中で「もうだめだ」という意識が
ぱっと広がった時からあっという間に崩れていってしまう。
会社という組織が死んでいく時、その前にまるで棒倒しのような
「人の倒産」が必ずあるそうだ。
同じように見えている棒でも。
今まで、僕は個人の力で出来る世界で生きてきたし、
自分の力次第でどうにかなるレベルでやってきた。
組織を預かる長としての物の見方というのは
さらなる高みをほんの少しみせてくれた。

投稿者: WildHarmony

1978年 東京都生まれ 東洋工学専門学校(現 東京環境工科専門学校)にて、フィールドワークの基礎を学ぶ。 北海道・知床、自然トピアしれとこ管理財団(現 知床財団)に通年で2年間ガイドとして勤務。 様々な経験を積み、クマのいるフィールドで行動する技術を学ぶ。 知床のフィールドで、写真で生き物を撮す事の愉しさを知り、 自分を通して自然を写真で表現することの奥深さに触れる。 北の自然へのあこがれに従って、その後アラスカへ渡る。 アラスカの広大な土地を巡る鮭の旅に触れ、 巨大ないのちのサイクルに自分のテーマ「鮭」を見出す。 Kentaro Yasui Born in Tokyo in 1978. Learned the basic skill of fieldwork from Toyo-Kogaku special school. After graduating I worked for Shiretoko foundation in Hokkaido. and guided in Shiretoko National park for many people in two years. Because of my admiration for nature of the north, I went to Alaska to photograph its beauty and wildlife. I mentioned of expressing nature with a photograph through oneself. Currently resident in Japan.

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