先日、親戚のおじさんが見舞いにやってきたときに
お土産代わりに一つ面白い話を聞かせてくれた。
そのおじさんは会社の経営者だったことがあって、
それもかなり厳しい時期に引き継いで、
数々の修羅場を乗り越え、
無事会社を別の人に引き継いだ人生の先輩だ。
今は引退してのんびり生活している。
来月はモンゴルに旅行に行くそうだ。
会社が倒産するということを棒倒しに例えて
話してくれた。
それは会社というのは棒倒しに良く似ているそうだ。
棒倒しは運動会でおなじみの1本の丸太をたくさんの人間で
支える競技だ。
勝敗は力づくで相手チームの棒を引きずり倒したら勝ち。
もちろん、両チームともに倒されないように必死で防御する。
会社というのはたくさんの人間が働いている組織で、
なおかつさまざまな種類の人間がいる。
これは棒倒しの棒を倒さないように支えている人間たち
も同じ事でいろいろな人間がいて、さまざまな方法で支えている。
がっしりと両手両足をつかって支える人や、
体ごと棒に抱きついて支える人。
あるいは両手で支えているようには見えるけれども
手を沿えているだけの人。
会社という棒が倒されそうになる時、
そういった「人の総合力」が試される。
「会社という物は売り上げや数字はいくらでもつくれるんだ。
でも、本当にいよいよとなった時には、まるで、棒倒しのように
なってしまうんだ。」
同じ人数で対戦しているのにどうして棒が倒されるのか?
それは、沢山の人が棒を支えているように見えるんだけど、
実は支えている人たちの心の中で「もうだめだ」という意識が
ぱっと広がった時からあっという間に崩れていってしまう。
会社という組織が死んでいく時、その前にまるで棒倒しのような
「人の倒産」が必ずあるそうだ。
同じように見えている棒でも。
今まで、僕は個人の力で出来る世界で生きてきたし、
自分の力次第でどうにかなるレベルでやってきた。
組織を預かる長としての物の見方というのは
さらなる高みをほんの少しみせてくれた。