アラスカの秋もいよいよ深まり、
冬を目前に控えた物寂しい風が吹いています。
撮影に対する自分のリズムも、夏のエネルギッシュなリズムでは
捉えきれない秋の静かなテンポを前に、少しずつ
スローにシフトしています。
山の頂上がパウダーシュガーを振りまいたように
白く色を変え、黄葉の色の山肌と共存している。
まるで、その様子は秋と冬が同居している今の季節を表している
ようだ。
これからの季節に備えてレンタカーをアップグレードした。
寒さに備えてもあるが、何より夜露に濡れたテントをたたむ手間も省けるし、
悪天候でも料理をする事が出来る。
これはピックアップトラックにキャンピングカーのようなユニットを
積んだ物で、こちらの動物写真家がよく使っている。
中にはベッドルーム・キッチン・シャワー・トイレ・冷蔵庫が
コンパクトに収納されている。
およそ野外で望める限りの快適さがこのキャンパーには積み込まれている。
この快適な環境は肉体的ストレスをかなり軽減してくれる。
しかし、被写体が動物である以上、毎日テントに泊まっていた日々は
ある意味で動物の生活に近かった。
季節の微妙な変化や太陽の移り変わりを感じる事が出来た。
肉体的なストレスの軽減と感覚の鈍化。
どちらが大きく撮影を左右するのか?
写真にはその人があらわれるとよく言われる。
その言葉には嘘はないと思うが、
その写真を撮った人の人間性はあらわれない。
その写真を撮った人の被写体に対するその人の感性が
表現されるだけだと最近、感じるようになった。
快適な生活が自分の写真に何をもたらすのか。
でも心配はいらないかもしれない。
借りる時に念を押された。
「水が凍るかもしれないけど大丈夫?」
快適なのは今だけなのかもしれない。