アラスカでの友達の中で一番仲のいい友達の職業は
”剥製師”
日本ではなじみのない職業だけど、
こちらではハンティングやフィッシングが一つの
スポーツ
としてみとめられている。
楽しみ方は人によって様々なんだけど、
一部の人は頭骨や毛皮をきれいに処理して、
自分のハンティングの成果の
”トロフィー”
として、家に飾る習慣がある。
友達の仕事はハンターが持ち帰った動物の
頭や毛皮をこれらのトロフィーとして加工する仕事だ。
ハンティングで動物を殺すということは
安易に反対する人もいるが、実際に動物に近づいて
殺すという事がどれほど難しく、またその経験から
本当にたくさんの事が学べたりする。
楽しみ方は人によって様々と書いた理由は、
弓一つで巨大なムースに挑み、見事に倒し、
何一つ無駄にせず、持ち帰る人もいる。
かといって、動物を倒し、頭だけトロフィーのために持ち帰り、
肉は無駄にするハンターもいる。
「命を取るのであれば、無駄にしない。」
腕の良いハンターは落ち着いた独特の雰囲気でこの言葉を口にする。
ある人はブルックス山脈でドールシープを仕留めたが、
悪天候に見舞われ、何とか頭だけは持ち帰る事が出来たが、
それでも後日もう一度、わざわざ飛行機をチャーターして
肉をとりに行った。
結局その間に肉は動物に食べられ手に入れる事は出来なかったが、
それでも自分がとった食べ物の価値というものはかけがえのないものになる。
釣った魚でも、摘んだブルーベリーでもまた同じだ。
動物の生活は食べ物を探し、殺し、食べる。
果てしないこの連鎖が複雑に絡み合っている。