ハーベスト

あまり天気の良くない今年のアラスカ。
まだサケの姿も見かけないので身体がなまらないように、トレイルを歩き回っていました。
しかし、それでも写真が撮れないストレスは溜まっていくもの。
独り言を山の中でつぶやく訳にもいかないし。
楽しみの食事もいつもと変わらないもの。
車の天井を叩く雨の音で目を覚ますと、目の前に広がる木々の葉が強風でひっくり返り白い裏地を晒してた。
「今日は……どうすっかなー」と思ったけど、
気になっていた潮見表を取り出して潮位を調べると、ギリギリ車を飛ばせばまだ干潮に間に合う時間。
悪天候にイライラしながら、こじつけでシャッターを切るよりも、
すっかり忘れて頭を切り替える事も必要。
一人でいる事での決断の気楽さもあるけれど、また一人でいる事での決断の迷いもある。
両方が頭の中でグルグルと暴れている。
この決断で今日を無駄にするんじゃないだろうか?
しかし、こういう時に出来る事は一つしかない。
それは考えるのを辞める事。
結局5分も迷わず、クルマを飛ばして、シャベルとバケツを借り、
フィッシングライセンスを買って見事に到着。

Harvest
ハーベスト。収穫。
自然の恵みを享受すること。
Clam digging
簡単に言うと貝掘り。
干潮の浜辺を歩き回って、貝の呼吸口を探してシャベルで掘り進む。

今日のターゲットはこの「Razor Clam」
上のノズルで呼吸し、下から足が出て、振動を感じると一気に下に砂の中を潜って行く。
つまり、掘り始めると同時に貝が潜るのが早いか、掘り当てるのが早いか競争になるわけです。

しかし、こちらも経験者。
彼らには無い、経験と知恵を武器に一気に掘ります。

一人もくもくと掘り続けていたので、
途中の写真はありませんが、見事に2時間で58個をGET。

一人一日で60個までのリミットなので、まあまあのスコア。
実はこの貝は味も良し、掘るのも楽しいですが、
食べられるように殻を取り、砂を洗い流して綺麗身を切り分けるのにとても時間がかかります。
くたびれたので、特に詳しくは書かないですが、熱湯につけて殻を取り、その後水で一つ一つ砂を洗い流してから丁寧に切り分けてワタをとる。

ま、簡単に言うと、
コレがこうしてああなってから、
こうなって、それから

こうなったらお終いです。
簡単に言うと、4時間。
掘るのより大変です。
まあ、そのおかげでこんなご褒美もありますが…

バターガーリッククラムパスタ
やっぱり鮮度が命です。

投稿者: WildHarmony

1978年 東京都生まれ 東洋工学専門学校(現 東京環境工科専門学校)にて、フィールドワークの基礎を学ぶ。 北海道・知床、自然トピアしれとこ管理財団(現 知床財団)に通年で2年間ガイドとして勤務。 様々な経験を積み、クマのいるフィールドで行動する技術を学ぶ。 知床のフィールドで、写真で生き物を撮す事の愉しさを知り、 自分を通して自然を写真で表現することの奥深さに触れる。 北の自然へのあこがれに従って、その後アラスカへ渡る。 アラスカの広大な土地を巡る鮭の旅に触れ、 巨大ないのちのサイクルに自分のテーマ「鮭」を見出す。 Kentaro Yasui Born in Tokyo in 1978. Learned the basic skill of fieldwork from Toyo-Kogaku special school. After graduating I worked for Shiretoko foundation in Hokkaido. and guided in Shiretoko National park for many people in two years. Because of my admiration for nature of the north, I went to Alaska to photograph its beauty and wildlife. I mentioned of expressing nature with a photograph through oneself. Currently resident in Japan.

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