いつも、土曜日の仕事が終わると急いで家に帰る。
決して週末をのんびり過ごすとかではない。残念ながら
日曜日も仕事だ。好きな事をしながらお金を稼ごうとすると
どうしても、人が働かない時に働くのが一番効率よく稼げる。
まあ、そんな事は置いておいて、どうして早く帰るかというと
夜10時からテレビ東京で放送されている
「美の巨人たち」というテレビ番組を見るためだ。
今まで絵については興味が無かったけれど、この番組は30分
番組の中で毎週一人、画家の代表作とその背景について
紹介してくれる。
もちろん時間に限りがあるので、ほんのさわり程度でいつも
終わってしまうのだが、その軽さがまた手軽で良い。
一日働いて帰ってきて、さらにヘビーに掘り下げた番組は
残念ながらパスだ。
おまけにここが気に入っているのだけれど、
なんと言ってもほぼ系統無しに画家が毎週次から次に
紹介される。
誰かに教えてもらいながらだったりすると、どうしてもその教わる人の
好みの系統に集中してしまいがちだったりするけれど、
この番組は手軽な事が何よりの良さだったりしている。
この番組の中で紹介される代表作の背景に存在する
エピソードはさらに濃厚な味の奥行きを深めてくれる。
いわゆる行間というやつだ。
前に、ある写真家から「写真家が語らなければならない
写真など全くの無意味だ」と言われたがあった。
まあ、もちろん僕の写真をけちょんけちょんに言われた
後だったので、僕の写真について未熟だと言いたかったのだろうけれど、
やはり、その言葉には引っかかるものがある。
不思議な事に写真という表現方法には
作家には何故かストイックな沈黙を求められるような気がする。
逆に、絵を描く画家にはもっと雄弁であるべきとされているように思う。
僕は作品の行間の暖かみが写真にもぬくもりを
与えてくれるようにも思うんだけれど。