とうきびで農家に怒られる。

夏の北海道。
雨の多い日が続くとはいえ、せっかくの道南にいるのでとうきび(とうもろこし)を買おうと農家の直売所に立ち寄りました。

農作物は採れたてほど美味いものはない!
ということを思い知らされました
フラッと入ると、女性が皮を剥きながらセッセと箱詰めしてる。
「いま、雨続いててとうきびしかないですよー」と声をかけられた。
北海道って訛りが無いように言われますが、道南にいくにつれて、アクセントが強くなるようです。
「あ、とうきび欲しいんですよ」
「どっちにしますー??白と黄色!」
「???食べた事ないんですけど…。」
「じゃあ、ほら!!」
バリっと皮を剥いて1本差し出される…。
「そのまま、ガブっと!ほら!!」
見ると、白い粒のトウモロコシがみずみずしい。
一粒一粒がこのところの雨をタップリと吸ったかのようにプリプリと弾けそうなくらい肉厚。剥きたての皮の青臭い匂いもまた、引き寄せるかのようだ。
「ウチのは新鮮だからね、そのままいっちゃって!」
ガブリとかじると、みずみずしい甘さが口になだれ込んでくる。
「うわ!甘っ!!!」
長雨がトウモロコシに吸われて、トウモロコシを通過して口に入ってきたような気分。
むしろ、トウモロコシを通過するだけで、ここまでみずみずしく、そして甘くなるのかと錯覚した。
「でしょー、ヤッパ採れたてが一番だわー」
完全にプロの仕事を魅せられた流れ。
もうこうなると回答はひとつ。
「あ、コレ下さい。」
試しにもらった1本をかじりながら、買おうとすると、
「お客さん、車??」
「え?はい。」
「いつ帰るの??」
「もうちょい、先ですけど、、それが??」
「………。手持ちで帰ります???」
「ええ?そのツモリですけど。」
「んー、売りたくないわー!」
「ええ???」
「だって、鮮度保てないし、美味しくないし!!」
「ええええ???」
いや、あの本州でもっと鮮度も何もないトウモロコシ食べてますけど、それに比べたら…。
どうやら、本気だったみたいです(笑)
その後、売る売らないの押し問答10分くらいしてましたから(笑)
結局、押し切りましたがそれでも最後に、
「まー、いいか。もう会うこともないし」
イヤイヤイヤ、どんだけこだわるのよ(笑)
字面ほど、嫌な感じではなく、むしろ新鮮な素晴らしさを伝えられないのに納得できない様子が伝わってきました。
そして、白と黄色を三本づつ買って、支払い810円ほど。
そして、10円オマケしてくれました。
金額にしたら大きな金額ではないけど、それでも味にプライドをもって妥協しない。
差別化やら付加価値を大げさにつけて値を吊り上げていこうとする世の中だけど、金額が基準になっておらず、自分達の納得のいく仕事かどうか?
そして、それがキチンと伝わるかどうか。
まさにプロの矜持。
買ったトウキビは名前の通りとても甘く、大満足でしたが、果たして本当に言う通りの鮮度だったらどの位美味しかったのかと、頭をよぎる美味しさでした。

投稿者: WildHarmony

1978年 東京都生まれ 東洋工学専門学校(現 東京環境工科専門学校)にて、フィールドワークの基礎を学ぶ。 北海道・知床、自然トピアしれとこ管理財団(現 知床財団)に通年で2年間ガイドとして勤務。 様々な経験を積み、クマのいるフィールドで行動する技術を学ぶ。 知床のフィールドで、写真で生き物を撮す事の愉しさを知り、 自分を通して自然を写真で表現することの奥深さに触れる。 北の自然へのあこがれに従って、その後アラスカへ渡る。 アラスカの広大な土地を巡る鮭の旅に触れ、 巨大ないのちのサイクルに自分のテーマ「鮭」を見出す。 Kentaro Yasui Born in Tokyo in 1978. Learned the basic skill of fieldwork from Toyo-Kogaku special school. After graduating I worked for Shiretoko foundation in Hokkaido. and guided in Shiretoko National park for many people in two years. Because of my admiration for nature of the north, I went to Alaska to photograph its beauty and wildlife. I mentioned of expressing nature with a photograph through oneself. Currently resident in Japan.

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